ジャズベース講座・実践編・Part4・Fly Me To The Moon ベースライン

ジャズベース講座実践編
お気軽にフォローください

ジャズベース講座・実践編・Part4では、『コードトーン』・『スケールトーン』・『パッシングトーン(経過音)』の3要素を使用してジャズベースの基本である2ビート・4ビート(walking bass line)を組み立てる方法を解説します。

スポンサーリンク

はじめに

ジャズスタンダードのFly Me To The Moonのベースラインについて説明しますが、まずはこの曲のコードアナライズを終えている必要があります。ジャズベース講座・実践編・Part1を理解した上で今回のPart4に取り組んでください。

ジャズベース講座・実践編・Part1・Fly Me To The Moonコード分析
ジャズベース講座・実践編・Part1ではFly Me To The Moonのコード分析(アナライズ)を5つの手順に分けて詳しく解説します。コード進行の仕組みや、各コードに対応するスケールを理論的に解釈する『アナライズ』を行うことによって曲の全体像が正確に掴めるようになります。

解説で使用した譜面はページの一番下からダウンロード可能です。

2ビート・4ビートとは

『2ビート』は『2フィール』とも呼ばれ、2分音符主体のベースラインです。

『4ビート』は『4フィール』、『ウォーキングベース(walking bass)』とも呼ばれ、4分音符主体のベースラインです。一昔前はランニングベースとも呼ばれていましたが、現在では殆ど使う人はいません。

この『2ビート』と『4ビート』がジャズベースラインの基本となります。

豆知識として、日本では『2ビート』『4ビート』と言われるのが一般的ですが、海外では通じません。『2フィール』『4フィール』『ウォーキングベース』と呼ばれます。

ベースラインの基礎知識

ジャズに限らず、ベースラインは以下の3つの要素で構成されています。

コードトーン

コードの構成音だけで組み立てるベースライン

コードトーン +スケールトーン

コードトーンとスケール音(2・4・6度を意味します)で組み立てるベースライン

コードトーン +スケールトーン+経過音 (パッシングトーン)

コードトーン、スケール音、経過音で組み立てるベースライン

この記事では上記の3要素を全て使用したベースラインの組み立て方を解説します。

4ビートベースラインにおける重要ポイント

4ビートを組み立てる際に押さえておくべき重要なポイントを押さえておきましょう。

  • 1拍目は基本的にコードのルート音を使用
  • ルート音以外に3度・5度音も1拍目に使用可能だが、2〜3割程度にする
  • コードの7度音は1拍目に使用しない
  • 1・3拍目は強拍となるので基本的にコードトーンを使用する

コードトーンだけで構成された4ビート

先ずはコードトーンだけで4ビートベースラインを弾く練習をしてみましょう。

コード基本形

最初にコードの基本形(Root→3度→5度→7度)です。各コードトーンを間違えずに弾けるまで練習しましょう。(譜面は前半の16小節です)

コード転回形

次にコード転回形でベースラインを弾いてみましょう。

コードの転回形については以下の記事をご覧ください。

ジャズベース講座・基礎編・Part18・コード練習
ジャズベース講座・基礎編・Part18ではこれまで学んだハーフポジションから第7ポジションまでを使用したコードの練習方法について取り上げます。『コード練習』は音楽の重要な要素であるハーモニーを理解して習得するために行います。ジャズのベースラインではルートだけでなく、全てのコードトーンを使用してラインを組み立てます。音の理解だけでなく、ポジションやフィンガリングなど総合的に把握できる内容となっています。 ここでご紹介する練習はコードを立体的に理解して演奏できる内容となっています。『手癖でいつも同じベースラインを弾いてしまう』というお悩みを持つベーシストさんには必須の練習メニューです!

コード転回形とボイスリーディング

コードが変わる箇所をボイスリーディングしてベースラインを弾いてみましょう。

簡潔に言うと、ボイスリーディングとは異なるコードのコードトーンを近い音で(半音か全音)で繋ぐことを意味します。

ボイスリーディングはベースラインを構築する上で重要なコンセプトです。4ビートベースライン全体の7〜8割程度はボイスリーディングされていますので、音の繋がりを注意深く見てください。

以下はコードの変わり目が全てボイスリーディングされたベースラインです。

コードトーンとスケールトーンで構成された4ビート

次にコードトーンとスケールトーンで構成された4ビートベースラインです。コードトーンのみのベースラインと比べて音飛びが少なく、なだらかなラインになるのが特徴です。

コードトーン・スケールトーン・パッシングトーンで構成された4ビート

4ビートの最後はコードトーン、スケールトーン、パッシングトーンで構成されたベースラインです。コードトーンとスケールトーンのベースラインと比べて更に音飛びが少なく、なだらかなラインの構築が可能となります。

パッシングトーン(経過音)とは

パッシングトーン(経過音)とは、ターゲット音に対して半音上、または半音下で繋がっている音で、基本的にコードトーンとスケールトーンに属さない音になります。

下記のベースラインで経過音になっている箇所は丸で囲ってあります。7小節目のG、G#は次のA音に向かうダブルクロマチックアプローチ(半音で連なる経過音が連続でターゲット音に向かう事)となっています。

2ビートベースラインにおける重要ポイント

2ビートを組み立てる際に押さえておくべき重要なポイントを押さえておきましょう。

  • 基本のリズムは2分音符が主体だが、様々なリズムパターンがある
  • 1拍目は基本的にコードのルート音を、3拍目はコードの3・5度音を使用
  • 1拍目はルート音以外に3度・5度音も使用可能だが、2割程度にする
  • コードの7度音は1拍目に使用しない
  • 1・3拍目は強拍となるので基本的にコードトーンを使用する

コードトーンだけで構成された2ビート

2分音符ので構成されたシンプルな2ビート

様々なリズムで構成された2ビート

一般的な2ビートは、以下の譜面のように様々なリズムで構成されています。

コードトーンとスケールトーンで構成された2ビート

コードトーンとスケールトーンで構成された2ビートベースラインです。コードトーンのみのラインよりもなだらかなラインが構築可能です。

コードトーン・スケールトーン・パッシングトーンで構成された2ビート

2ビートの最後はコードトーン、スケールトーン、パッシングトーンで構成されたベースラインです。コードトーンとスケールトーンのベースラインよりも自由度の高いラインの構築が可能となります。

臨時記号(♯と♭)がパッシングトーンです。

まとめ

今回は『コードトーン』・『スケールトーン』・『パッシングトーン(経過音)』の3要素を使用してジャズベースの基本である2ビート・4ビート(walking bass)を組み立てる方法をジャズスタンダード曲のFly Me TO The Moonを題材に解説しました。

最初は即興で弾くことは難しいと思いますので、色んなラインのパターンを譜面に書いてアイデアをまとめることをお勧めします。その後bpm=60程度でクリックやマイナスワン音源を鳴らして弾いてみましょう。先ずは書いたラインを見ながら弾いても良いですが、慣れてきたらコード譜だけでトライしてみましょう!

譜面ダウンロード

Fly Me To The Moon ベースライン

タイトルとURLをコピーしました