ジャズベース講座・基礎編。今回は番外編として練習方法について解説します。
楽器の上達に欠かせない「練習」
練習メニューと実践方法で成果は大きく変わります。正しい練習を実践している方とそうでない方とでは後に天と地ほど実力に差がつきます。
しかし正しい練習とは?となると回答に困ってしましますよね。こちらの記事ではベーシストとしての楽器歴が30年、プロとしてのキャリアが20年の私が実践している練習方法をお伝えできればと思います。
ここで取り上げる正しい「練習」とは以下を意味します。
- 効率の良い練習
- 体に負担をかけない練習
- 自身の音を聴きながら調整(修正)する練習
- 手先だけを動かしてマインドがオフの状態にならないようにする練習
これらの事に焦点を当てていきます。
正しくない練習をしてしまい全く上達しなかった経験から効率の良い正しい練習方法まで詳しく解説出来ればと思います。是非最後までご一読ください。
練習方法解説の前に
練習方法と一口に言っても色んな要素があります。先ずは練習を行う為の環境作りについて解説します。
練習場所の確保
楽器練習において最も悩ましい問題が練習場所の確保ではないでしょうか?
場所としては自宅か外の二択しかありませんのでご自身の都合の良い方を選ばれて問題ありませんが、ウッドベース、ドラム、管楽器類は自宅での練習は難しいと思われます。
外での練習場所は以下があります。メリットとデメリットも記載していますので参考にしてください。
音楽スタジオ
楽器経験者なら1度は利用経験があるのではないでしょうか?個人練習はもちろんバンド練習も可能な万能スタジオです。
メリット
- 大多数のスタジオが駅から近い場所にあることが多くアクセスが良い。
デメリット
- スタジオ料金が割高。
- 個人練習は1時間500円ほどが相場だが前日にならないと予約できない。
カラオケ
カラオケで練習?と思われる方もいらっしゃるかもですがプロミュージシャンでも頻繁に利用します。ほとんどのカラオケ店で楽器練習は問題なく行えますが最初に利用する際は念の為お店に確認された方が良いでしょう。
メリット
- 音楽スタジオの料金よりかなり割安で利用できる。
- 満室で利用できない場合がほとんど無いので好きな時間に練習できる。
デメリット
- 防音対策が甘いので他の利用者さんの音が聞こえる。
公共施設
公民館やコミュニティーセンター等の音楽室もお勧めの練習場所です。
メリット
- 料金が格安。
- 音楽室なので防音対策もされている。
デメリット
- 利用希望者が多く予約が困難(利用日の数ヶ月前からの予約が必須)
- 公民館やコミュニティーセンターは地域密着型の施設で多数存在するが音楽室を併設している施設は少ない。
以上が外で可能な練習場所になります。ご自身のライフスタイルに合った練習環境を整えましょう。
練習時間の確保
練習場所の確保と同じくらい悩ましい問題が練習時間の確保です。
今までの経験からプロを目指す方は1日3〜4時間、アマチュアの方でも上達に必要な時間は1日1時間ほど確保する必要があります。毎日練習することが望ましいですが現実的ではありませんので週5日は練習するようにしましょう。
上記の練習時間はやる気があって早く上達したい方の目安になりますが、最低でも1日30分、週3〜4日は練習時間の確保が出来ないとレベルアップは難しいでしょう。
必要最低限の機材
楽器はもちろん、メトロノーム、教材、譜面台などの練習に必要な機材は揃えておきましょう。エレキベースやギタリストであればアンプやヘッドホンも必要になってくると思います。
ここまで練習を行う為に必要な場所・時間・機材の確保について解説しました。やる気があっても場所や時間が確保できなければ継続は難しいのでまずは環境作りから始めてください。
それでは本題の練習方法について解説します。
正しい練習方法の実践
練習メニューを組み立てる
ただ漠然と練習をしていても上達は見込めません。どのような練習が必要なのかリストアップして整理しましょう。また各練習内容に対して必要な時間も把握していると良いでしょう。
一つの課題だけに集中して練習しない
難しい課題に取り組んでいる場合に陥りやすい罠ですが、一つの課題のみに取り組むことは上達のスピードを遅くします。なるべく色んな複数の課題に取り組んでください。
課題が増えてくると1日では出来ない場合もあると思います。その場合は二日に分けて、それでも厳しい場合は三日、四日に分散して練習してください。
ポイントとしては適度に広く、適度に浅くじっくりと課題に取り組むことです。時には狭く深い練習も必要ですが基本的には上記を実践してみてください。色んな課題に取り組むことで相乗効果があるはずです。
目標を設定する
いつか上手くなれたら良いなぁと何となく練習していても上達は見込めません。目標を設定することでモチベーションが上がり上達のスピードもアップします。
目標を設定する上で短期目標・中期目標・長期目標を決めると更に効果が上がります。一般的に示されている期間とは異なりますが楽器上達に対しての目標期間は以下がベストと思います。
- 短期目標 1〜6ヶ月程度
- 中期目標 6ヶ月〜1年程度
- 長期目標 1年〜3年程度
ジャズベーシストの立場で例えてみると以下ような目標が立てられると思います。
- 短期目標 基礎固め
- 中期目標 基礎力アップと音楽理論の勉強
- 長期目標 ベースラインの組み立てとアドリブを弾けるようにする。セッションに参加する。
体に負担をかけない練習
どんな楽器でも少なからず体に負担をかけて演奏や練習を行っています。良い演奏を行う絶対条件として体と心がリラックスしていなければいけません。その為には正しいフォームの習得が重要ですが独学では難しいのでプロから直接指導を受けられる事をお勧めします。
テンポ設定
全ての練習に共通する絶対的な法則をお伝えします。
それはテンポを可能な限り落として練習することです。
練習の環境と時間が確保出来ているのに中々上達しない方のほぼ全員が速いテンポ設定で練習されています。後に詳しく解説しますが頭で認識、意識してから弾く事はもちろん、音量、音質、音色に気を配りながら練習することが最も重要です。
お勧めのテンポ設定は実際のテンポの半分から開始してみてください。BPM=50より下回る場合はテンポフリーにしてコントロールできるまで繰り返し練習しましょう。
BPM=50以上でテンポアップする場合は5ずつアップしていくと比較的ストレスなく対応できるはずです。
最終的には実際に演奏するテンポのプラス10〜20ほど速く設定して演奏できれば完璧です。(コントロールできていることが重要です)
最初は遠回りに感じるかも知れませんが、これに勝る早い上達方法はないと確信しています。
練習は楽しいですが根気が必要です。頑張りましょう!!
音量・音質・音色・音程に注意を払う
ゆっくりなテンポで正確に弾けている場合でも以下の4つが実践できているかご確認ください。
- 音量 適正な音量が出せているか。(楽器本来の音が出せているか)
- 音質・音色 適正な音量が出せていてもクリーンな音質・音色で弾けているか。
- ニュアンス・アーティキュレーション) フレーズに強弱等の表情を付けて弾けているか
- 音程 正確な音程で弾けているか(ウッドベースや管楽器等)
これらが実践出来ているかの判断は初心者には難しいのでプロに直接指導してもらう機会を作ると良いでしょう。
項目に分けて練習する
難しい課題に直面した場合どのように練習されていますか?ひたすら何度も繰り返して弾いていませんか?残念ながらこれは非常に効率の悪い練習方法です。
弾けない理由は必ず存在しており、それらをリストアップして個別に練習する必要があります。決してそれらを同時に行なってはいけません。時間を費やしても得るものは少なくなります。
課題曲やフレーズにより問題点は異なりますが以下のような事を実践してみてください。一見遠回りで面倒に感じますが、このような緻密な練習が最速で上達できる秘訣です。
- 指が物理的に速く動かない場合はフィジカルトレーニングに特化した練習
- コードやスケール音がパッと出てこない場合は脳が反応出来るテンポまで落として行う(もしくはテンポを無視して)
- 綺麗な音色で弾けい場合はフォームと身体の使い方の確認
- リズムが複雑な場合は音程を無視してリズムだけ弾く(歌う)練習
情報収集
楽器上達に関する情報は書籍や教則本をはじめ、YouTubeやこの記事のようなネットでも容易に得られますので積極的に情報収集をして知識を得ましょう。ただし正確で正しい情報でも自身のレベルによっては効果が得られるどころかマイナスになってしまう場合もありますので注意が必要です。何でもかんでも鵜呑みにするのではなく、可能なら信頼できる先生に自身にとってどの様な情報なのか確認されることをお勧めします。
生演奏を聴く
配信やYouTubeでも高品質な演奏やライブを聴ける時代になりましたが、プロ、アマを問わずミュージシャンは生演奏に触れる機会をなるべく多く持つようにしましょう。配信では伝わらない音色や息づかいを体験でき、演奏者同士のコンタクト方法なども勉強になります。
音楽仲間との交流
音楽は一人で練習していてもそれなりに楽しめますが、やはり人と一緒に音を出すことが一番の喜びではないでしょうか?アンサンブルで得られる経験は大きな力と財産になります。また仲間と交流を深めることで情報交換もできます。
個人練習はとても重要ですが、積極的にセッションやライブに行って交流を深めましょう!
まとめ
ジャズベース講座・基礎編。今回は番外編として練習方法について解説しました。
今回の内容をまとめると以下になります。
- 練習場所の確保
- 練習時間の確保
- 必要最低限の機材を揃える
- 正しい練習方法の実践
- 練習メニューを組み立てる
- 一つの課題だけに集中して練習しない
- 目標を設定する
- 体に負担をかけない練習
- テンポ設定
- 音量・音質・音色に注意を払う
- 項目に分けて練習する
- 情報収集
- 生演奏を聴く
- 音楽仲間との交流
最初にも述べましたが、練習メニューと実践方法で成果は大きく変わります。今回の記事を参考にして是非ご自身の練習に取り入れてみてください。