ジャズベース講座・理論編・Part11は機能(Function)と代理コードについて解説します。
代理コードというのは文字通り代わりになるコードを、機能(Function)というのはコードの役割を意味します。
このPart11を進めていただく前に音程、コード、スケール等の知識が必要となります。まだ完全に理解されていない方はジャズベース講座・理論編・Part2〜10から取り組んでください。
機能(Function)
機能(Function)というのはコードの役割を意味し、英語ではChord Function(コードファンクション)と言います。コード機能=コードの役割という事になります。
曲中に出てくるコードには役割(コード機能)があるという事になります。
今後押さえるべきポイントとしてメジャースケール、ナチュラルマイナースケール、ハーモニックマイナースケール、メロディックマイナースケールの各ダイアトニックコードにどのようなコード機能が存在するか知っておく必要があります。
コード機能種類
まずはどのような名称のコード機能が存在して役割があるのかを見ていきましょう。大きく分けるとメジャー系とマイナー系に分類され、それぞれ3種類の機能に分類されます。
メジャー系
Tonic (トニック)
安定感のある響きのコードでTと略記します。
Dominant (ドミナント)
不安定な響きのコードでDと略記します。安定感のあるトニックに進行することが多い特徴があります。
Sub Dominant (サブドミナント)
ドミナント程ではないが、やや不安定な響きを持つコードでSDと略記します。
マイナー系
Tonic minor (トニックマイナー)
安定感のある響きのコードでTmと略記します。
Dominant minor (ドミナントマイナー)
メジャーKeyのDominantとは異なり比較的安定感のある響きのコードでDmと略記します。
Sub Dominant minor (サブドミナントマイナー)
SDmと略記します。メジャー、マイナー問わずトニックに向かう性質があります。
次に各ダイアトニックコードがどの機能に分類されるかを見ていきましょう。
メジャースケールのダイアトニックコード機能
Tonic (トニック)
- Ⅰ△7
- Ⅲm7
- Ⅵm7
Dominant (ドミナント)
- Ⅴ7
- Ⅶm7(♭5)
Sub Dominant (サブドミナント)
- Ⅱm7
- Ⅳ△7
ナチュラルマイナースケールのダイアトニックコード機能
Tonic minor (トニックマイナー)
- Ⅰm7
- ♭Ⅲ△7
- ♭Ⅵ△7(サブドミナントマイナー機能としても成立する)
Dominant minor (ドミナントマイナー)
- Ⅴm7
Sub Dominant minor (サブドミナントマイナー)
- Ⅱm7♭5
- Ⅳm7
- ♭Ⅵ△7
- ♭Ⅶ7
ハーモニックマイナースケールのダイアトニックコード機能
Tonic minor (トニックマイナー)
- Ⅰm△7
- ♭Ⅲ△7(♯5)
- ♭Ⅵ△7(サブドミナントマイナー機能としても成立する)
Dominant (ドミナント)
- Ⅴ7
- ♭Ⅶdim7
Sub Dominant minor (サブドミナントマイナー)
- Ⅱm7♭5
- Ⅳm7
- ♭Ⅵ△7
メロディックマイナースケールのダイアトニックコード機能
Tonic minor (トニックマイナー)
- Ⅰm△7
- ♭Ⅲ△7(♯5)
- Ⅵm7(♭5) (サブドミナントマイナー機能としても成立する)
Dominant (ドミナント)
- Ⅴ7
- ♭Ⅶm7(♭5)
Sub Dominant (サブドミナント)
- Ⅱm7
- Ⅳ7
Sub Dominant (サブドミナントマイナー)
- Ⅵm7(♭5)
コード機能一覧表
コード機能が同じダイアトニックコードの共通点
同じ機能同士では共通のコードトーンがあります。
Cメジャーダイアトニックスケールのトニックを例に解説します。トニック機能に属するコードは以下の3つでした。
- C△7 (Ⅰ△7)
- Em7 (Ⅲm7)
- Am7 (Ⅵm7)
次に各コードのコードトーンを見ていきましょう。
- C△7 (Ⅰ△7)→CEGB
- Em7 (Ⅲm7))→EGBD
- Am7 (Ⅵm7))→ACEG
C△7のコードトーンのE・G・B音はEm7にも含まれており、C・E・G音はAm7に含まれている事が分かると思います。
別のコードであっても共通する音が含まれて響きが似ているコードとなり同じ機能として成立するということになります。このことが次に解説する代理コードを理解する上で重要なポイントとなります。
代理コード
代理コードとは同じ機能内で代わりになるコードを意味します。
再度Cメジャーダイアトニックスケールのトニックを例に解説します。トニック機能に属するコードは以下の3つでした。
- C△7 (Ⅰ△7)
- Em7 (Ⅲm7)
- Am7 (Ⅵm7)
同じ機能のコードトーンには共通音があることから代理コードとして使用(変更)する事が可能となります。具体的にはC△7(Ⅰ△7)からEm7 (Ⅲm7)やAm7 (Ⅵm7)に変更可能になります。
トニックだけでなくサブドミナントやドミナント機能内のコードであれば代理コードとして使用可能です。
これは先程も解説したように別のコードであっても共通する音が含まれて響きが似ているコードとなるので代理コードとして成立するということになります。
ただし代理コードが使用が可能な状況であっても効果的になるか、音楽的に成立して良くなるかは別問題でケースバイケースで変わります。有効に使用できるにはそれなりの経験が必要と思われます。
代理コードを使用するタイミング
代理コードの仕組みや理論はご理解いただけたと思いますが、実際にはいつ必要で使用するタイミングはどこなのでしょうか?
代理コードはアレンジやリハーモニーゼーションというコードを変換させる手法を用いる際に多用します。
代理コードの仕組みや理論を理解するのはさほど難しくないと思いますが、実際に使用するとなると少し難しくなるのでここでは割愛します。後日開講するジャズベース・オンライン講座・実践編にて詳しく解説します。
まとめ
ジャズベース講座・理論編・Part11は機能(Function)と代理コードについて解説しました。
機能(Function)というのはコードの役割を意味し、コード機能=コードの役割という事になります。
メジャー・ナチュラル・ハーモニック・メロディックマイナースケールの各ダイアトニックコードに機能があり以下に分類されます。
- Tonic (トニック)
- Tonic minor (トニックマイナー)
- Dominant (ドミナント)
- Dominant minor(ドミナントマイナー)
- Sub Dominant (サブドミナント)
- Sub Dominant (サブドミナントマイナー)
代理コードとは同じ機能内で代わりになるコードを意味します。同じ機能のコードトーンには共通音があることから代理コードとして使用(変更)する事が可能となります。
別のコードであっても共通する音が含まれて響きが似ているコードとなるので代理コードとして成立するということになります。
代理コードはアレンジやリハーモニーゼーションというコードを変換させる手法を用いる際に多用します。ここでは基本となる部分をしっかり理解しておきましょう!
ジャズベース講座・理論編・Part12では『アベイラブルテンション』と『アボイドノート』について解説します。