ジャズベース講座・理論編のスタートです。
理論編では音程、調(Key)の判別、スケール、コード等を取り上げます。即興演奏をする為には必要な知識になりますのでマスターしていきましょう。
まずは音楽理論の基本となる音程について解説しますが、本編に進む前にこちらのガイドラインを読んでから開始してください。
音程
音程とは2つの音の距離(高さ)を意味し、数字と度という単位を使用して距離を表ます。これを度数と言い、音程=度数を理解するという事になります。順番に解説していきますので現時点で理解できなくても全く問題ありません。
度数
度数は2つの音の距離を数字で表します。例えばCとDの音程(度数)は2度となります。ここでの注意点はCとDのような隣同士の度数を1度と考えずに2度と定義付けします。以下はCからオクターブ上のCまでの度数を表記してあります。
音程名
度数を理解するのに上記のような数字だけであれば非常に簡単なのですが、そう甘くありません笑
度数を正確に表すには、○度の前に長、短、完全といった名称が付きます。これが意外と難しく理論を勉強する上で最初の壁になりますが、法則を理解して必要事項を暗記すれば誰でも習得できます。
音程名と度数の関係
完全・長音程
まずは度数にどのような名称が付くのかCメジャースケールを例に見てみましょう。Cからスケールの音を順番に数字と名称を付けると以下のようになります。
数字は先程説明したように数えてください。例えばCからFはC・D・E・Fと数えて4度になります。
名称は完全と長が出てきました。ここで暗記すべき事は
完全という名称は1・4・5・8度
長という名称は2・3・6・7度に付きます。
他にも名称は出てきますが先ずはメジャースケールの度数に付く名称を暗記してください。ここを曖昧にしておくと先に進めませんので頑張って覚えましょう。
短音程
次に覚える名称は短です。短音程は長音程より半音低い音程に対して使用される名称です。したがって短は2・3・6・7度に付きます。1・4・5・8度に短は使用しません。上記譜面の長2・3・6・7度の音を半音低くすると以下のようになります。
減・増音程
減・増音程は完全音程より半音低い(減)、または半音高い(増)音程に対して使用される名称です。したがって減・増は1・4・5・8度に付きます。以下の譜面で確認してください。
基本的に減・増音程は完全音程に対して使用する名称ですが以下の例外があります。使用頻度としては少ないですが覚えておいてください。
長音程が半音高くなると増になる。
短音程が半音低くなると減になる。
以下は一例です。
名称と度数まとめ表
名称と度数の関係を表にするとこうなります。
1・4・5・8度は完全、2・3・6・7度は長を中軸として捉えてください。
音程の求め方
それでは実際にどのような考えと手順で音程を求めるかを解説します。
復習になりますが、音程とは2つの音の距離を度数名で表すことです。
先ずはどのような手順で解いていくか見てみましょう。
回答手順
- 基音がルートとなるメジャースケールを書き出す、楽器で弾く、または頭に思い浮かべる
- 2つの音が幾つ離れているか数える。この時に♭と♯といった臨時記号の存在は無視する
- 対象となる音がメジャースケール音に含まれているか、含まれていないかを確認
- 含まれている→完全・長
- 含まれていない→短・増・減
それでは2つの音程をどのように度数名で表すのか例題を見てみましょう。
例題1
CとEの音程を求めていきましょう。
- メジャースケールスケールの度数名を暗記しているか確認しましょう。完全1度、長2度、長3度、完全4度、完全5度、長6度、長7度、完全8度でしたね。
- 基音がルートとなるメジャースケールを書き出す、楽器で弾く、または頭に思い浮かべる。この場合、基音はCなのでCメジャースケールを使用します。
- 2つ目の音、この場合はEの音がCから度数でどれくらい離れているか数えます。C、D、Eなので3度になります。
- 最後に度数に名称を付けます。Eは3度でCメジャースケールに含まれているので長3度という答えが導き出せます。
例題2
CとE♭の音程を求めていきましょう。
- 基音がルートとなるメジャースケールを確認する。基音はCなのでCメジャースケールを使用します。
- 2つ目の音、Ebの音がCから度数でどれくらい離れているか数えます。♭と♯といった臨時記号の存在は無視してください。単純にC、D、Eと数えます。結果3度になります。
- E♭がCメジャースケールに含まれているか確認→E♭はCメジャースケールに存在しない。
- スケールに存在する音はEなので、Eに対してE♭がどうなっているか確認
- Eだと長3度だが、半音低いE♭なので短3度という答えになる。
例題3
FとBの音程を求めていきましょう。
- 基音がルートとなるメジャースケールを確認する。基音はFなのでFメジャースケールを使用します。
- 2つ目の音、Bの音がFから度数でどれくらい離れているか数えます。♭と♯といった臨時記号の存在は無視してください。単純にF、G、A、Bと数えます。結果4度になります。
- BがFメジャースケールに含まれているか確認→BはFメジャースケールに存在しない。
- スケールに存在する音はB♭なので、B♭に対してBがどうなっているか確認
- B♭だと完全4度だが、半音高いBなので増4度という答えになる。
例題4
FとC♭の音程を求めていきましょう。
- 基音がルートとなるメジャースケールを確認する。基音はFなのでFメジャースケールを使用します。
- 2つ目の音、C♭の音がFから度数でどれくらい離れているか数えます。♭と♯といった臨時記号の存在は無視してください。単純にF、G、A、B、Cと数えます。結果5度になります。(例題3のBと今回のC♭は表記が違うだけで実は同じ音です。同じ音なのに度数が違うのはFを1として定義付けしているからです。Fから数えるとF〜Bは4度、F〜Cは5度になりますね。この度数を間違えると名称も変わってしまいますのでくれぐれも注意してください)
- C♭がFメジャースケールに含まれているか確認→C♭はFメジャースケールに存在しない。
- スケールに存在する音はCなので、Cに対してC♭がどうなっているか確認
- Cだと完全5度だが、半音低いC♭なので減5度という答えになる。
音程・度数問題
それでは音程を求める練習をしましょう。
問題と回答はダウンロード可能です(ヘ音記号・ト音記号あり)
まとめ
音程・度数の解説いかがだったでしょうか?音楽理論で最初の難関がこの音程です。最初にも述べましたが、数字を数えるだけなら簡単ですが、その数字に対して異なった名称が付いてくるのが厄介です。音程を完璧に理解する必要な要素として以下の二つが重要です。
- メジャースケールを完璧に理解していること
- 完全や長といった名称がどの度数につくのかを暗記
音程は音楽理論の基本となり、今後学ぶスケール、コード、メロディー解釈、アドリブフレーズ、コード分析など全て音程が絡んでいます。音程の理解が曖昧であれば今後これらの事を確実に習得することは不可能に近いでしょう。音程を制するものが理論を制します。
最初は直ぐに回答を出せないと思いますが何度も練習してください。慣れれば数秒で解けるはずです。頑張ってください!
次回ジャズベース講座・理論編・Part3では調(Key)を解説します。