ジャズベース講座・実践編・Part9ではSo Whatのコード分析(アナライズ)と Walking Bass Lineの組み立て方について解説します。
実践編・Part1とPart2でコード分析(アナライズ)について詳しく解説しています。これらの内容を理解した上で今回のPart9を取り組まれることをお勧めします。
コード分析(アナライズ)の内容
コード分析(アナライズ)には通常以下の内容が含まれますが、So Whatはモード曲になりますので別の手順になります。
モードについては以下で詳しく解説しています。
通常のコード分析手順
- Keyの判別
- ダイアトニックコードとノンダイアトニックコードの分別
- 各コードに対応するスケールの把握
- 各コードに度数名(Degree Name)を付ける
- Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ等の定番コード進行の箇所を把握
モード曲におけるコード分析(アナライズ)の内容
- Keyの判別
- 各コードに対応するModeの把握
1. Keyの判別
So Whatのようなモード曲はKeyの概念は存在しますが、各コードに対してのモード(スケール)を重要視します。転調が頻繁に起こっているKeyの判定が難しい曲も多く存在します。
2. 各コードに対応するMode(スケール)の把握
モード曲のアナライズで一番重要な事は、各コードに対応するモード(スケール)の把握です。
So What 分析
それではSo Whatをアナライズしてみましょう。
1. Keyの判別
Keyシグネチャーに何も付いてないので、Key=Cと判断してしまいそうですが、この曲はDm7コードが大きな割合を占めていますので、敢えてKeyを断定するとなれば、Key=Dmと言えるでしょう。
ただし、メロディーからも分かるように、ドリアンモードの音が使われていますので、調性(tonality)はCメジャーKeyです。Key=B♭メジャーの平行調である、Key=Dmではありませんのでご注意ください。
この辺りがモード曲の複雑な所ではあるのですが、モード曲はKeyよりも各コードに対するモード(スケール)と、調性(tonality)を重要視することが大切です。
BセクションはE♭ドリアンモード(tonalityはD♭メジャーKey)になります。
2. 各コードに対応するMode(スケール)の把握
Keyの判別で既に答えは出ていますが、Dm7=Dドリアンモード、E♭m7=E♭ドリアンモードとなります。
モードジャズにおけるWalking Bass Line
ビバップ曲に多くみられる、コードが1小節や2拍単位で変化する曲は比較的ベースラインに困らないが、モードジャズ曲の様な同じコード進行が数小節間続くベースラインは難しくて苦手という方も多いのではないでしょうか?
以下の攻略法を紹介しますので参考になさってください。
ルート
次の小節の1拍目をRootへ繋ぐラインです。
5度
次の小節の1拍目を5度へ繋ぐラインです。
5度→Root
コード音の5度音からRootへ繋ぐラインです。
2小節目の4拍目のA音(5度音)から3小節1拍目のD音(Root)に繋ぐラインです。
Root→Ⅱ-Ⅴ
最後はリハーモナイゼーション(以下リハモ)を用いてラインを作ります。
リハモとは元のコードを別のコードに変える手法です。 シンプルなコード進行を複雑にしたり、逆に複雑なコード進行をシンプルにする事も可能です。
So WhatはDm7とE♭m7の2コードの曲でハーモニーはシンプルです。そこでリハモを使い、各コードに対するⅡ-Ⅴを加え動きを出します。
1コーラスベースライン
以下の譜面は上記の4つの要素が含まれたwalking bass lineです。
まとめ
ジャズベース講座・実践編・Part9ではモードジャズの代表曲、So Whatのコード分析(アナライズ)とWalking Bass Lineの組み立て方について解説しました。
ビバップ曲よりはKeyの概念が曖昧であったり、演奏のアプローチも異なりますが、今回解説したポイントを押さえていただければ、あとは練習あるのみです。
次のジャズベース講座・実践編Part10ではダイアトニック・トライアド『応用編』になります。トライアドを演奏で使用する方法を解説しますが、モードの知識も必要となりますので、今回の記事を是非参考になさってください。