ジャズベース講座・理論編・Part17はセカンダリー・ドミナントコードについて解説します。
セカンダリー・ドミナントコードとは
ノンダイアトニックコードの一つであり、Ⅴ7→ⅠMaj7以外のダイアトニックコードに対してドミナントモーション(Ⅴ7→Ⅰ)で進行するドミナントコードです。
Key=Cであれば、G7→CMaj7以外のダイアトニックコード(Dm7・Em7・FMaj7・Am7・Bm7♭5)に対してドミナントモーション(Ⅴ7→Ⅰ)で進行するドミナントコードです。
ジャズスタンダードでよくあるコード進行を例に詳しく解説します。
セカンダリー・ドミナントコードの使用例
Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴの例
ジャズスタンダードでも頻繁に使用されるⅠMaj7-Ⅵm7-Ⅱm7-Ⅴ7(循環コード)を例に取り上げます。
AはKey=Cのダイアトニックコードのみで形成されたコード進行です。
Bは2小節目のコード以外はAのコード進行と同じです。
2小節目のA7がDm7というダイアトニックコードに対してドミナントモーション(Ⅴ7→Ⅰ)で進行するセカンダリー・ドミナントコードになります。
※コード分析上ではA7をⅤ7/Ⅱと定義付けしますが、仮にDm7をⅠとするとA7はⅤ7となり、ドミナントモーション(Ⅴ7→Ⅰ)となっています。
セカンダリー・ドミナントのA7の方がAm7より和声の推進力が増す感じがしますし、何よりJazzyな雰囲気になります。
『I Got Rhythm』等のリズムチェンジ曲も循環コードが使用されている曲です。
AはKey=B♭の循環コード『ⅠMaj7(Ⅲm7)-Ⅵm7-Ⅱm7-Ⅴ7』です。
BはⅥm7のGm7をセカンダリー・ドミナントのG7に変えた循環コードです。Cm7に対してドミナントモーション(Ⅴ7→Ⅰ)が形成されます。
セカンダリー・ドミナントを用いた方がJazzyなサウンドになる為、Aセクションのようなコード進行でも、ジャズの演奏ではBセクションの進行を使用するのが一般的です。
その他のコード進行上での使用例
セカンダリー・ドミナントは他にも以下のような使い方があります。
A〜Cセクションの3拍目がセカンダリー・ドミナントコードになっており、2小節目のコードに対してドミナントモーション(Ⅴ7→Ⅰ)を形成しています。
セカンダリー・ドミナントコードがなくてもコード進行として成立しますが、ある方がより洗練された雰囲気になると感じますね。
セカンダリー・ドミナントコード一覧
Key=Cにおけるセカンダリー・ドミナントコードの一覧です。
まとめ
ジャズベース講座・理論編・Part17はセカンダリー・ドミナントコードについて解説しました。今回の内容をまとめると、
- セカンダリー・ドミナントコードはノンダイアトニックコードの一つであり、Ⅴ7→ⅠMaj7以外のダイアトニックコードに対してドミナントモーション(Ⅴ7→Ⅰ)で進行するドミナントコード。
- セカンダリー・ドミナントコードを使用することによってドミナントモーションが形成される。和声の推進力が増し、Jazzyな雰囲気になる。
セカンダリー・ドミナントコードを実際に活用できるシチュエーションは、ドミナントモーションが必要な場合です。使用例でも解説しましたが、循環コードのⅥm7をⅥ7等に変化させて使用することが多いです。とても便利なコードですので是非活用してみてください。