ジャズベース講座・理論編・Part8ではナチュラルマイナースケールのダイアトニックスケールとダイアトニックコードについて解説します。
ジャズベース講座・理論編・Part7ではメジャースケールのダイアトニックスケール・コードについて解説しました。今回のPart8に内容を理解する為にはPart7の内容を把握している必要がありますのでまだチェックされてない方はそちらからご一読ください。
解説で使用した資料(ト音記号含む)はページの一番下からダウンロード可能ですので是非ご活用ください。
ナチュラルマイナー・ダイアトニックスケールとは
Part7で解説したメジャーダイアトニックスケールと同様に、ナチュラルマイナースケールの各音を基音(ルート)としたそれぞれのスケールの総称をダイアトニックスケールと言います。(今回のPart8ではナチュラルマイナースケールの7つのダイアトニックスケールを意味します)
以下のようなイメージを持っていただけると理解しやすいと思います。
上記はCナチュラルマイナースケール音を例にしています。スケールの各音C・D・E♭・F・G・A♭・B♭を基音(Root)としたスケールが存在し、それらをまとめてナチュラルマイナースケールのダイアトニックスケールと呼びます。
次の解説に移る前に以下の名称をもう一度確認しておきましょう。
- ナチュラルマイナースケール=エオリアンスケール
- メジャースケール=アイオニアンスケール
ナチュラルマイナースケール=メジャースケール?
メジャースケールはアイオニアンスケールを第1のスケール(中軸)をとしており、アイオニアンの第6音が基音・ルートとなるスケールはエオリアンスケールです。
ナチュラルマイナースケールのダイアトニックスケールとコードはアイオニアンを第1のスケールとしないで、エオリアンを第1のスケール(中軸)としているだけで存在するスケール(モード)は同じです。
Aナチュラルマイナースケールを例にすると以下のようなダイアトニックスケールの並びになります。
この様にエオリアンが第1のスケールとなっているだけでその後のロクリアン、アイオニアン、ドリアン〜の並びはメジャースケールのダイアトニックと全く同じです。
ここで重要なことはAエオリアンとCアイオニアンは同じ音を使用して構成されている事から、エオリアンを第1のスケールとして捉えるか、Cアイオニアンを第1のスケールとして捉えるかの違いだけです。
ナチュラルマイナースケールにおけるダイアトニックスケール
それではナチュラルマイナースケールの各音を基音としたスケールがどのような構成になるのか見ていきましょう。
- Cナチュラルマイナースケールの音を例に解説しています。
- 各スケールごとにより理解を深めるためのポイントを記載しています。
- 各音の下にルートからの度数を以下の略記号で記載しています。度数で理解することがとても重要です。
度数に関して不安な方はこちらをご一読ください。
Aeorian(エオリアン)
アイオニアンの第6音から始まるスケールがエオリアンですが、ナチュラル・マイナーのダイアトニックスケールという観点から見れば基軸となる第1のスケールです。
ポイント:エオリアン=ナチュラル・マイナースケール
Locrian(ロクリアン)
エオリアンの第2音から始まるスケールです。
ポイント:Cエオリアンの場合、Cから長2度上のD音から始まるスケール
Ioninan(アイオニアン・イオニアン)
エオリアンの第3音から始まるスケールです。
ポイント
- アイオニアン=メジャースケール
- Cエオリアンの場合、Cから短3度上のE♭音から始まるスケール
Dorian(ドリアン)
エオリアンの第4音から始まるスケールです。
ポイント:Cエオリアンの場合、Cから完全4度上のF音から始まるスケール
Phrygian(フリジアン)
エオリアンの第5音から始まるスケールです。
ポイント:Cエオリアンの場合、Cから完全5度上のG音から始まるスケール
Lydian(リディアン)
エオリアンの第6音から始まるスケールです。
ポイント:Cエオリアンの場合、Cから短6度上のA♭音から始まるスケール
Mixo-lydian(ミクソリディアン)
エオリアンの第7音から始まるスケールです。
ポイント:Cエオリアンの場合、Cから短7度上のB♭音から始まるスケール
ダイアトニックスケールにローマ数字(ディグリーネーム)を付ける
楽曲やコード分析をより明確にするためにアイオニアンからロクリアンまでのスケールにローマ数字を付けて分類します。この事によってKeyが変わっても柔軟に対応できます。ディグリーネーム(数字)とスケール名をセットで覚えるようにしましょう。
- Ⅰ エオリアン
- Ⅱ ロクリアン
- ♭Ⅲ アイオニアン
- Ⅳ ドリアン
- Ⅴ フリジアン
- ♭Ⅵ リディアン
- ♭Ⅶ ミクソリディアン
スケール名だけを見ると1番目のスケールがエオリアンになっているだけで順番に変化はなく比較的覚えやすいですが、ディグリーネーム(数字)に着目すると全くの別物になっているので混乱しますね。ですがエオアリアン(ナチュラルマイナースケール)の度数がディグリーネームになっているだけなので冷静に考えれば問題ないです。
以下の様にディグリーネームがエオアリアンの構成度数となっています。
- Ⅰ 完全1度(ルート)
- Ⅱ 長2度
- ♭Ⅲ 短3度
- Ⅳ 完全4度
- Ⅴ 完全5度
- ♭Ⅵ 短6度
- ♭Ⅶ 短7度
ナチュラルマイナースケーにおけるダイアトニックコード
ナチュラルマイナースケールの各ダイアトニックスケールの1・3・5・7度の音を重ねたダイアトニックコード一覧です。
ダイアトニックコードって何?という方はこちらをご覧ください。
それではエオリアンからミクソリディアンまでの7種類のスケールの1・3・5・7度の音からどの様なコードが生成されるか見ていきましょう。
スケールと同様にCナチュラルマイナースケールを例にしています。
Aeorian(エオリアン)
Locrian(ロクリアン)
Ioninan(アイオニアン)
Dorian(ドリアン)
Phrygian(フリジアン)
Lydian(リディアン)
Mixo-lydian(ミクソリディアン)
ダイアトニックコードにローマ数字(ディグリーネーム)を付ける
ダイアトニックスケールと同じく楽曲やコード分析をより明確にするために、エオリアンからミクソリディアンまでのダイアトニックコードにローマ数字を付けて分類します。この事によってKeyが変わっても柔軟に対応できます。ディグリーネーム(数字)・スケール名・コードの種類をセットで覚えるようにしましょう。
- エオリアン Ⅰm7
- ロクリアン Ⅱm7(♭5)
- アイオニアン ♭ⅢMaj7
- ドリアン Ⅳm7
- フリジアン Ⅴm7
- リディアン ♭ⅥMaj7
- ミクソリディアン ♭Ⅶ7
ナチュラルマイナーにおけるダイアトニックスケール・コードの用途
ここまでナチュラルスケールのダイアトニックスケールとコードについて解説してきましたが、これらが実際にどのような用途で使用されるのか説明します。
メジャースケールにおけるダイアトニックスケールとコードと同様に曲の分析やコードの解析時に必ず必要な知識となっています。これらを学んでいないとベースラインの組み立てが難しく、当然ですがアドリブソロも弾けません。
特にナチュラルマイナースケールのダイアトニックコードの知識はマイナーKey曲の分析時に必要となります。
まとめ
ジャズベース講座・理論編・Part8ではナチュラルマイナースケールのダイアトニックスケールとダイアトニックコードについて解説しました。今回の内容をまとめると以下になります。
- ナチュラルマイナースケールのダイアトニックスケール解説
- ナチュラルマイナースケールのダイアトニックコードの解説
- ナチュラルマイナーにおけるダイアトニックスケール・コードの用途
次回Part9ではハーモニックマイナースケールのダイアトニックスケールとコードについて解説します。