ジャズベース講座・理論編・Part13・ペンタトニックスケールとブルーノートスケールについて解説します。
どちらもジャズのみならず全てのジャンルで多用されている非常に重要なスケールですね。ここでしっかりマスターしておきましょう!
ペンタトニックスケール
ペンタとは数字の5を意味しており、ペンタトニックスケールは5つの音で構成されたスケールとなります。
5音で構成されたスケールは全てペンタトニックスケールと定義付け可能ですが、ここでは代表的な2種類のペンタトニックスケールについて解説します。特殊な民族音楽を専門にするプレーヤー以外は今回解説する2種類のペンタトニックスケールを習得していれば困ることはないでしょう。
ペンタトニックやブルーノートスケールに限らず、全てのスケールは度数(音程)で理解することを強くお勧めします。特にエレキベースの場合は同じフィンガリングを並行移動すればどんなKeyでもスケールは弾けてしまいますが、形やフィンガリングだけで覚えてしまうと即興演奏が難しくなります。
度数(音程)についての詳しい解説は以下をご覧ください。
メジャーペンタトニックスケール
メジャーペンタトニックスケールはメジャースケール(アイオニアンスケール)の4度と7度を省いたスケールとなります。
構成度数=Root・長2度・長3度・完全5度・長6度
マイナーペンタトニックスケール
マイナーペンタトニックスケールはナチュラルマイナースケール(エオリアンスケール)の2度と6度を省いたスケールとなります。
構成度数=Root・短3度・完全4度・完全5度・短7度
メジャーペンタトニックとマイナーペンタトニックの関連性
メジャーペンタトニックスケールとマイナーペンタトニックスケールの使用されている音は同じでルート音(スタート音)が違うという特徴があります。
これはメジャースケールとナチュラルマイナースケールが平行調の関係にあると同じ意味を持ちます。平行調についてはこちらをご覧ください。
メジャーペンタトニックスケールの第5音、Cメジャーペンタトニックの場合はA音をルート(スタート音)にするとマイナーペンタトニックスケールとして成立する事が分かります。
この事から、メジャーペンタトニックスケール=マイナーペンタトニックスケールとなります。実際どのように使い分けるかは後ほど解説します。
ブルーノートスケール
ブルーノートスケールはマイナーペンタトニックスケールに増4度(減5度)の音を追加したスケールになります。
ブルーノートスケールはジャズで最も使用されるスケールです。ブルーノートスケールの響きを体感できる曲としてSony Clark作曲の『Cool Struttin’』というスタンダード曲があります。メロディーが終始ブルーノートスケールのみで構成されている曲です。
メジャーペンタトニックとマイナーペンタトニックスケールを使用できるコード
それではメジャーとマイナーペンタトニックスケールはどんなコードで使用できるのでしょうか?順番に見ていきましょう。
メジャーペンタトニックスケール
メジャーペンタトニックスケールは以下のコードで使用可能です。(例としてルートをCとしています)
- C
- CMaj7
- C6
- C7
メジャー系とドミナントコードで使用可能となります。
マイナーペンタトニックスケール
マイナーペンタトニックスケールは以下のコードで使用可能です。(例としてルートをCとしています)
- Cm
- Cm7
- Cm6
- C7
マイナー系とドミナントコードで使用可能となります。
ペンタトニックスケールを統一するアイデア
『メジャーペンタトニックスケールとマイナーペンタトニックスケールの関連性』で解説しましたが、2つのスケールは平行調の関係にあります。この関係性を利用してペンタトニックスケールを使用する際はメジャーかマイナーのどちらかに統一する事が可能です。
これをどのように実践的に活用するか解説します。
メジャースケールとナチュラルマイナースケールそれぞれのダイアトニックコードであるCMaj7とAm7も平行調の関係にある事から、どちらのコードに対してもメジャーまたはマイナーペンタトニックの両スケールの選択が可能です。
例えば、以下のようなコード進行があったとします。
C△7 – Am7 – Dm7- G7
スタンダード曲で頻繁に出てくるⅠ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴという循環コード進行になりますが、C△7 – Am7の部分は平行調の関係になっています。ここでペンタトニックスケールを選択する場合はCメジャーペンタトニックスケールとAマイナーペンタトニックスケールが二つのコードで使用可能となります。
C△7にCメジャーペンタを、Am7にAマイナーペンタという考えではなく、C△7もAm7もCメジャーペンタで統一、またはAマイナーペンタに統一してよりシンプルに考える手法なのです。
どちらを選ぶかはプレーヤーの好みで問題ありませんが、傾向としてマイナーペンタトニックスケールを好んで使用しているプレーヤーが多いと感じます。
ただし、常にどちらかのペンタトニックに統一しましょう!という訳ではありません。メジャーかマイナーのどちらをチョイスするかはケースバイケースで異なります。
ここで重要な事は、1つのコードに対して複数のスケールが使用可能ということを知っておくとプレイの幅が大きく広がります。
ペンタトニック・ブルーノートスケールの練習方法
様々なペンタトニックスケールの練習方法がありますがここではシンプルなものをご紹介します。
譜面ではCメジャーとAマイナーペンタを例にしていますが、12Keyのメジャーとマイナーペンタトニックスケールで練習すると効果大です。
ペンタトニックスケールに特化した教則本
ペンタトニックスケールに特化した教則本はこれ一択と言っても過言でないでしょう!
Sax奏者ジェリー・バーガンジィ氏が著者のインサイド・インプロ・シリーズvol.2はペンタトニック・スケールに特化した内容となっています。どちらかと言えばモダンなアプローチの内容となっていますので、ペンタトニックフレーズを発展させたい方は一度取り組んでみてはいかがでしょうか?
ペンタトニックスケールとブルーノートスケールが多用されている曲
Kenny Dorham作曲Blue Spring Shuffleはテーマ、メンバー全員のソロがペンタトニックとブルーノートスケールを頻繁に使用しています。とても参考になりますので聴いてみてください。ベースはPaul Chambersです。
まとめ
ジャズベース講座・理論編・Part13・ペンタトニックスケールとブルーノートスケールについて以下の順で解説しました。
- ペンタトニックスケール
- メジャーペンタトニックスケール
- マイナーペンタトニックスケール
- メジャーペンタトニックとマイナーペンタトニックの関連性
- ブルーノートスケール
- メジャーペンタトニックとマイナーペンタトニックスケールを使用できるコード
- ペンタトニックスケールを統一するアイデア
- ペンタトニック・ブルーノートスケールの練習方法
- ペンタトニックスケールに特化した教則本
- ペンタトニックスケールとブルーノートスケールが多用されている曲
今回解説した内容を熟読して音の構成や仕組みを覚えましょう。
ペンタトニックスケールやブルーノートスケールはプレーヤーの個性が強く出るスケールで、様々なアプローチがあります。好きなプレーヤーがどのようにスケールを使用しているか、音選びやニュアンス等の細部まで研究してみてください。努力を重ねていけばきっと自身の個性が確立されていくでしょう。