ジャズベース講座・理論編・Part12では『アベイラブルテンション』と『アボイドノート』について解説します。
音楽用語としては頻繁に出てきませんが、『アベイラブルテンション』と『アボイドノート』を理解する事によってベースラインや、アドリブソロの正しい音選びができるようになりますのでここでしっかり押さえておきましょう。
簡潔にまとめると『アベイラブルテンション』使用可能な音で、『アボイドノート』は取り扱い注意音となります。
これらをより理解いただく為に先ずはスケールの仕組みについて説明します。
スケール音の仕組み(構成)
スケールを構成する音は『コードトーン』『テンションノート』『アボイドノート』に分類されます。
コードトーン
スケールの1・3・5・7度の音がコードトーンです。(SUS4コードは1・4・5・7度音)
テンションノート
スケールの2・4・6度(9・11・13度)の音
アボイドノート
本来のコード機能を損なわせる可能性がある音を『アボイドノート』と言います。絶対に使ってはいけない音ではなく、長く伸ばしたり、重要な箇所(主に強拍)で使用する際に注意が必要です。
アボイドノートになる可能性になる音はテンションノートのいずれかになります。スケールごとにアボイドノートが変わるので覚えるのが大変ですが、違和感がある音が『アボイドノート』と理解すると良いでしょう。
アベイラブルテンションとアボイドノートについて
スケールがどのような音で構成されているかを理解いただいたと思いますので本題の『アベイラブルテンション』と『アボイドノート』について解説します。
テンションノートとアボイドノート共に音で響きを確認することが最も重要です。エレキベースでも音の確認はできますが、可能ならピアノやピアノアプリを使用して響きを確認してみましょう。
アベイラブルテンション
アベイラブルテンションとはスケールのテンションノート2・4・6度(9・11・13度)の音がコードに対して違和感なく綺麗に響く音を意味します。
スケールごとにアベイラブルテンションは変わります。ただ単に暗記する方法は効率が良くありませんので練習曲と通じて一つずつ覚えておきましょう。
アボイドノート
上記でも解説したように、アボイドノートとは本来のコード機能を損なわせる可能性がある音を意味します。
アボイドノートになる可能性になる音はテンションノートのいずれかになりますが以下のような法則があります。
①各コードトーンから短9度上(短2度=半音)の音程を構成する音。ただし以下の例外がある。
- Maj7コードでの第7音とRoot(CMaj7であればBとC間の音程)
- ドミナントコードの♭9テンション(C7であればCとD♭間の音程)
②各コードトーンから増11度、減12度上(増4度、減5度)の音程を構成する音。これはドミナントコードのみに含まれるトライトーンが他のコードで形成されてはドミナントコードの特徴・特殊性を損ねてしまうからである。ただし以下の例外がある。
- Maj7(#11)コードでのRootと増11度音(増4度)はトライトーンの関係になるがMaj7コードの特徴を崩さないので問題ない。(C△7♯11であればCとF♯間の音程)
ただし実際の演奏ではあまり神経質にアボイドノートを気にする必要はありません。アボイドノート=取り扱い注意音と理解しましょう。鳴っている長さが短く、弱拍や裏拍での使用は影響ありません。
アベイラブルテンションとアボイドノート一覧表
メジャー・ナチュラル・ハーモニックマイナー・メロディックマイナースケールの各ダイアトニックスケールとコードに対してのアベイラブルテンションとアボイドノートをまとめてみました。
ヘ音記号とト音記号の譜面がページ一番下からダウンロード可能です。
各スケールのルートから見た度数を記載しており『コードトーン』『テンションノート』『アボイドノート』に分類しています。度数(数字)前の記号は以下の意味となっています。
- R = Root
- M = 長音程
- ♭ = 短音程
- P = 完全音程
- ♯ = 増音程
- ♭♭ = 減音程
- T = アベイラブルテンション
- A = アボイドノート
度数を完全に理解されていない方はこちらをご覧ください。
メジャースケールのアベイラブルテンションとアボイドノート
ナチュラルマイナースケールのアベイラブルテンションとアボイドノート
ハーモニックマイナースケールのアベイラブルテンションとアボイドノート
メロディックマイナースケールのアベイラブルテンションとアボイドノート
オルタード・ドミナントスケールをルートから3度音程で積み重ねるとm7(♭5)というコードが形成されますが、テンションコードを用いてAlt7コードとして使用する方が一般的です。
アボイドノートの注意点
アボイドノートの定義については何度も記載していますが、ケースバイケースで使用可能になったり、プレーヤー自身の判断であえてアボイドノートを使用することもあります。
上記でアベイラブルテンションとアボイドノートをまとめてみましたが、他の教則本やオンラインで解説されている内容とは異なる場合があるかもしれません。何故ならアベイラブルテンションとアボイドノートはケースバイケースで使用可能になったり、プレーヤー自身の判断であえてアボイドノートを使用することもあります。
それくらいアボイドノートというのは曖昧な立ち位置となりますので、使用するかどうかの最終判断はご自身の耳を信じてください。
(リストを作成する際に特にドリアンの13th音はテンションに入れるか迷いました。今回はアボイドノートに位置づけしましたが、私には違和感が無いので13th音は使用します)
まとめ
ジャズベース講座・理論編・Part12では『アベイラブルテンション』と『アボイドノート』について解説しました。
今回の内容をまとめると以下になります。
- スケール音の仕組み(構成)
- アベイラブルテンションとアボイドノートについて
- アベイラブルテンションとアボイドノート一覧表
- アボイドノートの注意点
ジャズベース講座・理論編・Part13ではペンタトニックスケールとブルーノートスケールについて解説します。
資料ダウンロード
Major scale tension & avoid note
Major scale tension & avoid note(ト音記号)
Natural minor Tension & Avoid note
Natural minor Tension & Avoid note (ト音記号)
Harmonic Minor tension & avoid note
Harmonic Minor tension & avoid note(ト音記号)